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■■ 環境社会学会メールマガジン ■■
第116号 2008/5/1
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目次
■ 第37回セミナー(赤谷)のお知らせ
■ 第37回セミナー(赤谷)事前勉強会のお知らせ
(お詫び)
さきほど送信いたしましたメールマガジン116号で、セミナーの「自由報告プログラム」に訂正(追加)がありました。
書き直したものをもう一度を送らせていただきますので、差し替えていただくようお願いいたします。お手数をおかけしてたいへん申し訳ございませんでした。
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┃■┃ 第37回セミナー(赤谷)のお知らせ
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2008年の春の第37回セミナーは、下記のように地域住民・NGO・行政機関によ
る国有林の共同管理プロジェクトが進む、群馬県みなかみ町「赤谷の森」で行う
ことになりましたので、お知らせします。
なお、セミナー時のベビー・シッティングは、「セミナー時におけるベビーシッ
ターの取り扱い」(ニューズレター第38号/通算43号)に基づきます。詳細情報
は、参加申込者に追ってお知らせします。
【日時】2008年6月6日(金)〜8日(日)
【場所】群馬県利根郡みなかみ町:みなかみ町役場新治支所、猿ヶ京温泉長生館他
【テーマ】生物多様性と地域社会、行政、NGO、研究者の協働
【開催主旨】
群馬県みなかみ町の国有林「赤谷の森」では、2004年3月に財団法人日本自然
保護協会と林野庁関東森林管理局が締結した協定にもとづき、「三国山地/赤谷
川・生物多様性復元計画(赤谷プロジェクト)」が実施されています。
赤谷プロジェクトは、約1万ヘクタール(10km四方)の国有林を、10年単位の
協定によって、地域住民、NGO、行政機関が共同管理する日本初の試みです。規
模の大きさ、期間の長さだけでなく、地域住民で組織する地域協議会と日本自然
保護協会、林野庁関東森林管理局がコアセクター(中核団体)となり、森のある
べき将来像を合意した上でそれを森林計画に反映させています。
共同管理の体制を整えた上で、プロジェクトは「生物多様性復元」と「持続的
な地域社会づくり」を二大目的に、上述のコアセクターと研究者・市民サポーター
が協働して、自然環境のモニタリング調査、スギ・カラマツ人工林の自然林への
復元実験、日本初の治山ダム撤去による渓流環境修復計画、教育活動・地域づく
り・エコツーリズムのための旧街道網の復活などに取り組んでいます。
このプロジェクトを支えているのは、�1990年代、同地でリゾート開発とダム
開発計画をめぐる住民運動を経験した、自然湧出の温泉を観光資源とするみなか
み町新治地区の地域住民、�かつて地域住民と共に自然保護運動を展開し、プロ
ジェクトの企画・総合事務局を務める日本自然保護協会、�人工林の自然林への
復元や治山ダムの撤去など、新たな取り組みにチャレンジする林野庁の現場スタッ
フ、�研究者・市民サポーターらの、日々の協働です。そして、この輪に、環境
社会学会会員が複数名関与しています。
発足から5年、進行中のプロジェクトですが、地域住民・NGO・行政機関と研
究者による地域環境管理の意思決定や協働のありよう、各地で進む自然再生の動
きとの比較、国有林野行政の今後、自然保護運動と地域社会の新たな関係等、環
境社会学会が考えるべき論点がふんだんに盛り込まれています。環境社会学の研
究戦略・実践戦略を「赤谷の森」という現場で考えるセミナーにしたいと思いま
す。
【参加申し込み・期限】
なるべく電子メールにて、5月20日(火)までにお申し込みください。
氏名、所属、住所、電話番号、ファクス番号、メールアドレス、参加区分(一
般/院生)、性別(男/女)、宿泊(6日泊、7日泊の有無)、懇親会(参加す
る/参加しない)、希望エクスカーション名(第1希望[ ]/第2希望[ ]、
参加しない)、託児所(利用する/利用しない)
以上の項目をご記入の上、
akayaforest@nifty.com
までメール送付願います。もしくは、ニューズレター同封の申し込みハガキ(お
手数ですが50円切手をお貼りください)にて、お申し込みください。
【スケジュール(予定)】
6月6日(金)
17:00 受付開始(猿ヶ京温泉長生館)
19:30 各種委員会
20:00 オープニング・セッション
6月7日(土)
8:45〜エクスカーション(バス発:長生館)
13:00 総会(みなかみ町役場新治支所)
14:00〜17:00 自由報告(みなかみ町役場新治支所)
18:30〜懇親会(猿ヶ京温泉長生館)
20:30〜朝まで討論会
6月8日(日)
9:30〜12:30 シンポジウム(みなかみ町役場新治支所)
終了後解散
【アクセス】
6月6日(金) 17:25に上越新幹線「上毛高原駅」
17:15に上越線「後閑駅」
にご集合いただいた場合は、宿までの送迎バスがあります。
※これ以外の時間は、路線バス等を利用いただきます。
【参加費】
一般会員27,000〜28,000円程度、学生・院生は24,000〜25,000円程度
※宿泊費2泊分、エクスカーション代、懇親会費、7日昼食代を含みます。上記は
全日程参加の場合の参加費です。宿泊数などにより参加費が変わることがありま
す。
【エクスカーション】
赤谷プロジェクトでは「生物多様性復元」と「持続的な地域社会づくり」を目
的に、1万ヘクタールの広大な森で様々な事業が進んでいます。以下に予定する
4つのコースを通じて、赤谷の森の来歴をつかむとともに、プロジェクトがめざ
す森の多面的な将来像について考えていきます。
(1)「自然湧出温泉の価値に支えられる自然保護活動」コース(定員28名)
1990年代、「赤谷の森」のある新治村(当時)北部ではスキーリゾート開発計
画、川古ダム開発計画と、それに対応する形で住民によって結成された自然保護
活動が展開されていました。両計画ともに2000年に中止となりましたが、地域社
会が経験した自然保護活動は、赤谷プロジェクトのそもそものきっかけといえま
す。
このコースでは、「赤谷の森」からの恵みである自然湧出の温泉源と水源があ
り、クマタカの生息エリアとなっている法師・ムタコ沢エリアを体験し、秘湯
「法師温泉」を拠点に、当時から自然保護活動に携わってきた方々(現・赤谷プ
ロジェクト地域協議会メンバー)に、地域住民が大規模開発から何を守りたかっ
たのかを語っていただきます。
(2)「旧街道網を活用する教育・研修・観光拠点づくり」コース(定員28名)
「赤谷の森」には、江戸時代には江戸と越後とを結ぶ交通の要所として繁栄し
た「旧三国街道」が今も残されています。一部はブナの自然林に囲まれたハイキ
ングコースとしてすでに活用されていますが、赤谷プロジェクトでは、旧三国街
道エリアに網の目のように残る歩道を、教育・研修・観光の拠点「フットパス網」
として整備することとしています。
このコースでは、三国峠周辺の旧街道を散策し、「赤谷の森」に残るブナの自
然林を間近に体験しつつ、エコツーリズムの拠点をめざして「フットパス網計画」
にとりくむ方々のお話を聞きます。心地よい自然林を散策できるコースです。ま
た、越後からの米輸送の中継地として繁栄した「永井宿」にある郷土資料館を訪
問し、往時の様子を学びます。
(3)「赤谷の森林施業史と自然林再生の試み」コース(定員28名)
国有林である「赤谷の森」では、1960年前後からの拡大造林政策によってスギ
やカラマツの人工林が増加しました。現在では約1万ヘクタールの面積の3割が
人工林です。それら人工林の多くは間伐・収穫の時期を迎え、収穫後に跡地をど
のような森林にしていくべきかが問われています。赤谷プロジェクトでは、本来
の高い自然性を維持すべきとするエリアで、人工林を伐採した跡地を自然林に再
生するための試験を進めています。
このコースでは、自然林再生の実験地のある小出俣エリアを体験し、「赤谷の
森」における森林施業の歴史と、赤谷プロジェクトが進める森林管理、自然林再
生の試みについて解説を受けます。
(4)「全国初・治山ダム撤去による渓流の生物多様性復元」コース(定員28
名)
2007年2月、赤谷プロジェクトは、全国で初めて、治山ダムを撤去することに
よって、渓流環境の生物多様性復元を進めることを決定しました。この前例のな
いとりくみを、昭和20〜50年代にかけて17基の治山ダムが建造された茂倉沢エリ
ア(全長約3km)で進めています。
このコースでは、赤谷プロジェクトで渓流環境の生物多様性復元にとりくむ方
々の案内で、治山ダム撤去を計画する茂倉沢を体験していただき、赤谷の森での
治山事業の歴史と、これからの治山と渓流環境保全のあり方、治山ダム撤去とい
う手段に至るまでの経過について解説を受けます。
【自由報告 2008年6月7日】
■分科会A:環境保全の理念と方法 司会=牧野厚史(琵琶湖博物館)
A1. 森を守れ——神社合祀反対運動を展開した南方熊楠の主張
橋爪 博幸(桐生大学)
A2. 原発立地空間に生きる鎮守の森——長島・田ノ浦の生物多様性と地域社会の改変を通して
早瀬 利博(長崎大学)
A3. 保全行政の成立要因の分析
森下直紀(立命館大学大学院)
A4. 「かかわり指標」による生態系の文化サービス評価とモニタリング——地域住民の声と知を政策につなぐために
二宮 咲子(東京大学大学院/�環境管理センター環境基礎研究所)
A5. 集合的記憶の形成を通じた住民による文化景観創造活動の展開——香川県直島を事例として
宮本 結佳(奈良女子大学大学院)
■分科会B:環境と地域社会 司会=土屋雄一郎(京都教育大学)
B1. 屋久島のサバ節加工の消長にみる伝統的生業の持続性
王 智弘(東京大学大学院)
B2. それでもそこで暮らし続けるためには—原子力施設立地地域における住民の生活技法
山室 敦嗣(福岡工業大学)
B3. ため池の池干し慣行の存続・再開の意義と実現性——兵庫県東播磨・北播磨地域を事例に
今田 美穂(国立環境研究所)
B4. 村主導の自然再生——滋賀県東近江市大塚の溜め池にみる自然再生の論理
楊 平(琵琶湖県立博物館)
B5. 山村被災集落への帰村条件としての「先祖の土地」—中越地震被災集落・新潟圏旧山古志村楢木集落の帰村者の実践から—
植田今日子(筑波大学)
■分科会C:環境政策をめぐって 司会=菊地直樹(兵庫県立大学)
C1. 長良川河口堰問題における運動と科学——1970年代と1990年代の比較を通じて
立石 裕二(東京大学大学院)
C2. 環境教育における行政と市民の協働——庄内川の水辺体験学習を事例として
秋山 幸子(名古屋大学大学院)
C3. 斜里町におけるエゾシカ保護管理の展開
今榮 博司(北海道大学大学院)
C4. 護るために殺す?——スポーツハンティングの可能性と問題
安田 章人(京都大学大学院)
【シンポジウム 2008年6月8日】
テーマ「生物多様性と地域社会、行政、NGO、研究者の協働」
エクスカーションでは、赤谷の森の各地で「生物多様性復元」と「持続的な地
域社会」をキーワードに、多岐にわたる活動が進んでいることを実感いただける
と思います。シンポジウムでは、赤谷プロジェクトに地域住民、林野行政、研究
者の立場から関与する4名のパネリスト(林泉さん、河合進さん、林野庁関東森
林管理局、亀山章さん)と、各地の自然再生事業の理念と枠組みを検証されてい
る鬼頭秀一さんに登壇していただき、多様な主体の協働の枠組み(自然再生協議
会等の既存制度に拠らない独自の意思決定と事業の枠組みがなぜ成立したのか)、
協働を支える「生物多様性復元」と「持続的な地域社会」という理念のありよう
などについて検討を深めます。
司 会:茅野恒秀(日本自然保護協会/法政大学大学院)
パネラー(予定)
林 泉(赤谷プロジェクト地域協議会/川古温泉浜屋旅館)
河合 進(元新治村助役/国土交通省選定「観光カリスマ」)
林野庁関東森林管理局(調整中)
亀山 章(東京農工大学/赤谷・自然環境モニタリング会議)
コメンテーター
鬼頭秀一(東京大学)
【第37回セミナー事務局】
セミナー実行委員:茅野恒秀(事務局長)、菊地直樹、嵯峨創平、土屋俊幸、丸
山康司、宮内泰介(自由報告担当)、研究活動委員会
問い合わせ先:茅野恒秀(日本自然保護協会/法政大学大学院)
〒104-0033 東京都中央区新川1-16-10 ミトヨビル2F
財団法人日本自然保護協会
TEL 03-3553-4107 FAX 03-3553-0139 E-mail:chino@nacsj.or.jp
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┃■┃ 第37回セミナー(赤谷)事前勉強会のお知らせ
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第37回セミナー開催にあたって、赤谷プロジェクト(三国山地/赤谷川・生物
多様性復元計画)の概要を共有する事前勉強会を開催します。本プロジェクトは、
2004年3月に発足した進行中のプロジェクトであるため、単行本に類する概略的
資料がまだありません。このため、事前勉強会の形式で、プロジェクトに関する
情報の不足を補いたいと考えています。セミナーへ参加される方々はふるってご
参加ください。
記
日時 5月25日(日) 14:00〜16:30(予定)
場所 法政大学市ヶ谷キャンパス ボアソナードタワー7階 0705室
http://www.hosei.ac.jp/hosei/campus/annai/ichigaya/campusmap.html
報告 「(仮)赤谷プロジェクトの取り組み」
報告者 茅野恒秀(日本自然保護協会/法政大学大学院)
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□発行 環境社会学会 会長・長谷川公一(東北大学)
事務局
〒194-0298 東京都町田市相原町4342
法政大学社会学部 堀川三郎
E-mail: office@jaes.jp
□編集 藤村美穂(運営委員 佐賀大学)
□メールアドレス・住所・所属など個人情報の変更、メールマガジン掲載依
頼、その他のお問い合せは、学会事務局までお願いいたします。
□年会費の振り込みは、郵便振替口座:00530-8-4016 口座名:環境社会学会
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