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環境社会学会は、2021年12月4日に第64回大会をオンラインにて開催します。

プログラム・要旨集(PDF)

概要

  • 日程:2021年12月4日(土)
  • 開催方法:オンライン開催
  • 参加費:無料

大会スケジュール

自由報告・実践報告部会

9:00~10:30

  • 部会A リスク・被害がもたらす影響と対応
  • 部会B 現代社会のサステナビリティ

10:40~12:40

  • 部会C 地域社会とネットワーク
  • 部会D 生物と人間社会

シンポジウム

13:30~(17:00 終了予定)

  • グリーン化する社会の環境社会学−グリーンインフラとどう向き合うか?

参加申し込み

以下のフォームから参加申し込みを受け付けます(非会員の方も参加可能です)。申し込みいただいた方に、ZoomのミーティングIDとパスワードを大会直前にお知らせいたします。

自由報告・実践報告における報告者の皆様も、下記のフォームから参加登録をお願いします。

参加申込フォーム(終了)

託児について

学会の託児補助金を活用することができます。

  • 託児補助金として、お子さん1名につき1大会1万円を支給します。利用者2名以降は50%(5000 円/人)の支給とします。
  • 補助金の支給は、信憑書類の提示と引き換えに、利用者の口座に大会後振り込みます。
  • 支給の対象となる託児利用は、大会開催地周辺でも、利用者の自宅周辺でも広く認めています。

ご利用される方は12月4日の大会当日までに学会事務局にご連絡ください。

学会事務局お問い合わせ
シンポジウム

グリーン化する社会の環境社会学

― グリーンインフラとどう向き合うか?

近年、SDGs、ESG投資といった考え方が提唱され、環境保全や環境への配慮を社会経済活動に組み込もうとする政策や活動が進められている。こうした社会のグリーン化への一つのアプローチとして「グリーンインフラ」がある。

グリーンインフラは、たんに環境に優しいインフラでもなければ、人工構造物に自然的要素を付け足したものでもない。自然の多機能性の活用を通して、持続可能な社会と経済の発展に寄与するインフラや土地利用計画である。その特徴は、自然の保護ではなく自然の諸機能の活用を重視する点にある。

日本では東日本大震災以降、環境や土木、建築、経済などの様々な分野で注目が集まり、国土交通省や環境省、地方自治体などの計画に反映されている。たとえば、生態系の特徴や災害リスクに応じた土地利用によって防災・減災を進めるEco-DRR(Ecosystem-based Disaster Risk Reduction)、都市内の低未利用地を多機能的空間として創造的に再生し、地域の魅力の向上を目指した取り組みなどがある。グリーンインフラなど自然の多機能性を活用した解決アプローチはNbS(Nature-based Solutions)と呼ばれ、国際的に注目されている。

ただ、自然の多機能性の活用という考え方は何も目新しくはない。新しさは、環境問題だけではなく人口減少・少子高齢化、地域経済の停滞・格差の拡大といった現代社会が抱えている諸課題に対して、自然の多機能性の活用を可能とする分野横断的解決アプローチである点にある。グリーンインフラの展開において、工学者や生態学者などが提案する自然の多機能性を活用する「技術的解決策」だけでなく、研究者、行政、企業、銀行、NPO、地域住民といった利害や関心が異なる人びとの協働と合意形成という「社会的解決策」もまた必要とされている。技術的解決策と社会的解決策の融合という点からすると、グリーンインフラは、地域住民が使える技術を用いて地域のインフラを自治管理するという「インフラの(再)コモンズ化」という側面も有している。

このように考えると、コモンズ論、協働と合意形成を可能とする「順応的ガバナンス」の構築、「環境制御システム」の介入の深化など環境社会学で培われてきた理論と実践知は、自然の多機能性を活用する社会のしくみや政策、制度のデザインのあり方について新たな知見を提供することができるのではないか。一方、工学や生態学を基盤とした行政主導の実装に、新たな統治概念としてグリーンインフラを批判的にとらえる議論も可能であろう。改めて指摘するまでもなく、環境社会学といっても一枚岩ではない。さまざまな理論、政策や実践へのかかわり方があり、グリーンインフラへの向き合い方(向き合わないことも含めて)も多様である。問いたいことは、環境問題の解決を志向してきた環境社会学は、社会のグリーン化への解決手法であるグリーンインフラと向き合うことにより、その実践知をどのように深化させるができるか、である。

以上の問題意識から「グリーン化する社会の環境社会学−グリーンインフラへの向き合い方」を企画した。具体的には、生態系を活用した防災・減災、グリーンインフラの自治管理活動、創造的復興とグリーンインフラ、環境制御システム論から評価するグリーンインフラという報告から構成される。コメンテーターとして、国土交通省と環境省、地方自治体の職員を招き、社会実装の視点から環境社会学への期待と課題を指摘していただく。異分野融合によってグリーンインフラへの向き合い方を模索する本シンポジウムが、グリーン化する社会における環境社会学の知のあり方を問い直すきっかけになることを期待したい。

(担当委員 菊地直樹)

 

主旨説明  菊地直樹(金沢大学)

  • 報告1 人口減少時代の生態系減災と地域循環共生圏
    一ノ瀬友博(慶應義塾大学)
  • 報告2 グリーンインフラとしての海岸マツ林とその自治管理
    鎌田磨人(徳島大学)
  • 報告3 創造的復興とグリーンインフラ
    高崎優子(北海道教育大学)
  • 報告4 グリーンインフラの環境社会学的分析視角:環境制御システム論の視点から
    茅野恒秀(信州大学)

パネルディスカッション

コメンテーター

  • 和田紘希(国土交通省総合政策局環境政策課)
  • 岡野隆宏(環境省自然環境局自然環境整備課)
  • 田代優秋(丹波篠山市役所/和歌山大学)【「野生生物と社会」学会】
  • 丸山康司(名古屋大学)

コーディネーター

  • 菊地直樹(金沢大学)

自由報告・実践報告

部会A リスク・被害がもたらす影響と対応
部会B 現代社会のサステナビリティ
部会C 地域社会とネットワーク
部会D 生物と人間社会

部会A リスク・被害がもたらす影響と対応  司会 廣本由香(福島大学)

  • A-1 水害リスクの可視化が及ぼす地価への影響について
    前田豊(信州大学)・金太宇(関西学院大学)
  • A-2 零細漁民コミュニティにおけるコロナ・パンデミックの影響と
    適応戦略:タイ・トラン県の事例
    新井雄喜(信州大学)・Maneewan Sanlee(Save Andaman Network Foundation)・上原三知(信州大学)・岩﨑慎平(福岡女子大学)
  • A-3 「被害」の不可視性と笑い
    ―原発事故後の福島におけるユーモアの実践を事例として
    庄子諒(一橋大学大学院)

部会B  現代社会のサステナビリティ 司会 大門信也(関西大学)

  • B-1 <生産の踏み車>を操るグローバル環境制御システムとしての人類遺産
    資本の所有権回復モデル――誰も取り残さない環境社会学理論のために
    岡野内正(法政大学)
  • B-2 テキストマイニングによる環境意識と行動の斉合性分析
    陳艶艶(福岡工業大学)
  • B-3 「みどり(Green)」のまちづくりにおける「暮らしやすさ(Suitability)」
    の社会学的研究と指標の開発
    天野健作(大和大学)・立花晃(大和大学)

部会C 地域社会とネットワーク 司会 北島義和(釧路公立大学)

  • C-1 鉄道と鉄道駅を中心とした地域公共交通網と地域再生産性の社会学的研究―福岡県筑豊の嘉飯山地域における人口変動に対する年齢効果に着目して―
    家高裕史(関西学院大学大学院)
  • C-2 馬毛島での米軍のFCLP施設建設計画の経緯と地域社会の現状
    朝井志歩(愛媛大学)
  • C-3 自主防災組織における平時の防災リスクコミュニケーションの波及的効果―東京・三鷹市「おやじの会」の「防災キャンプ」を事例に―
    中山敬太(早稲田大学)

部会D 生物と人間社会 司会 平川全機(北海道大学)

  • D-1 川辺林の保全団体はどのような将来像を描いたのか―愛知県豊田市の2つの水辺愛護会の事例からー
    吉橋久美子(豊田市矢作川研究所)・洲崎燈子(豊田市矢作川研究所)
  • D-2 「島の破壊者」か、「王からの贈り物」か―アメリカ合衆国ハワイ州モロカイ島におけるアクシスジカと地域住民の関係
    安田章人(九州大学)
  • D-3 [実践報告] 生き物好きには「たかが3mm、されど3mm」~地域の生物多様性(保全)に現代の生き物文化としてかかわる
    井上大輔(NPO法人北九州・魚部)