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メールマガジンアーカイブ

メールマガジン-第46号

By 2004年3月3日No Comments

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■■         環境社会学会メールマガジン         ■■
第46号 2004/3/3
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目次
■特別研究例会「環境社会学・修士論文発表会」のお知らせ・要旨集
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2003年度 環境社会学特別研究例会
「環境社会学・修士論文発表会」のお知らせ
日時: 2004年3月13日(土) 10:00-18:00
場所: 法政大学市ヶ谷キャンパス
大学院棟(92年館)4階・401教室
(http://www.hosei.ac.jp/gs/access/access.html)
主催=環境社会学会
企画担当・司会=鬼頭秀一[恵泉女学園大学]+土屋俊幸[東京農工大学]+帯谷博明 [立正大学]
★なお、当日は要旨集を用意いたしませんので、参加される方は各自、下記の要旨をプリントアウトしてお持ちいただければと思います。
<会の趣旨>
本特別研究例会は、狭義の環境社会学のみならず、広義の環境社会学会関連の修士論文の成果を発表していただき、じっくり議論ができるようにしたいと考えています。
このような修士論文発表会は、一昨年から始めた企画ですが、毎回、刺激的なコメントが飛び交い、発表者、聴衆の双方にとって新たな発見や解釈がもたらされた充実した集まりになっています。
昨年同様、今回も他大学大学院で同分野を研究している院生の学的出会いの場、さらに博士課程進学後の研究テーマを展望する上でも貴重な意見交換の場にできればと思っています。また、修士1年次の皆さんにとっても自分の修論執筆の参考になるだろうと思います。
会の終了後、懇親会も予定していますので、夕食をとりながら「延長戦」も可能です。奮ってご参加ください。
<プログラム>
◇10:00-10:15 担当研究活動委員挨拶(鬼頭秀一)+事務局から(帯谷博明)
■ 第1部 10:15-12:30 (座長=土屋俊幸)
10:15-11:00
▼報告(1) 杉浦未希子(東京大学)
「水」に値段をつける意味-灌漑用水における水紛争と政策的解決可能性
●内容要旨:
本稿では灌漑用水が経済学上の「公共財」に該当するか、市場原理に親和的であるか、を検討した。結論として、日本においては「私的財」ではあるが、ガスや上水道と同様に公的供給すべきである財である、とした。
その結論を受けて、「市場原理に親和的だとしても、制度導入する以前に(1)水需要者側で何らかの水需要低減の工夫なり行動をとれないか(2)灌漑用水 における『水紛争』(希少性)の捉え方による価値操作が恣意的に行われる結果、市場原理導入を容易にする可能性はないか」と考え、上記??について論考し た。最後に、逆説的ではあるが、経済原理を積極的に捉える視点を提示した。水需要者側の取り組みを、本来は需給一致の集団内で決せられていた水分配原理 が、利水間調整を経て現代的に変容したものであると位置づける。資源管理権限の行政への集中化を背景としながらも、経済化を通してコミュニティーに資源管 理の一部が残されるという可能性もある。
●キーワード(4つ):灌漑用水、水紛争、資源の希少化、プライシング
11:00-11:45
▼報告(2)  高橋品子(埼玉大学)
環境資源とエコツーリズム –沖縄県西表島の事例から–
●内容要旨:
本論は、環境保全と新しい観光産業としてのエコツーリズムの両立可能性を考察する。沖縄県西表島西部地区ヒナイ川水辺域を利用するカヌー業者に焦点をあて、西表島の経済発展と環境保全のあり方を検討し、持続可能な観光業の方向性を提示する。
本論は、カヌーツアーによる自然環境への影響調査と、カヌー業者の世帯/家計調査を中心にした幅広い聞き取り調査を基礎にしている。
カヌー組合による水辺域の自主規制は、観光利用における共同管理の先駆的な実例となる。関係者のほぼ全員が参加し、民主的に運営される「協議会」での合意形成が、環境資源利用上の社会的抑制効果を生み出すことが検証される。
住民対立を再生産する社会的要因が、農家と観光業の所得格差と労働条件の違いにあることを明らかにし、カヌー業を中心とした西表島の経済発展が、環境資源を損なうことのない、持続可能な観光業の一つの有望な方向性であることを示している。
●キーワード:カヌー業、 自主規制、 家計戦略、 持続可能な観光業
11:45-12:30
▼報告(3) 中川加奈子(滋賀県立大学)
無形文化財保全運動における「媒介者」の役割
-滋賀県犬上郡豊郷町の江州音頭伝承活動を事例として–
●内容要旨:
近年、農山漁村地域における観光政策の一環として、地域文化の利用に注目があつまっている。従来、「生活」の場で上演され、場と連動する形で変容してきた地域文化は、行政等「ソトにより保存するべき無形文化財と枠取られ、観光資源として利用される機会が増加している。
本報告では、滋賀県湖東地域に伝わる江州音頭の保全運動を取り上げる。近年、行政など地域の「ソト」が中心となり、それぞれ別の伝承形態をとっていた 「音頭(声)」と「踊り」を観光資源として枠取り、あわせて江州音頭として利用していこうとする試みが示された。これに対し、江州音頭の担い手は多様化 し、上演する場を細分化し、棲み分けて「生活」の場での伝承形態を維持していたのである。本稿では、その過程において地域の「ウチ」と「ソト」の境界の結 節点となっていた担い手を「媒介者」とし、「よそもの」にも「住民」にもなれない「媒介者」の葛藤と、その立場の両義性が、運動に与えた影響を明らかにし たい。
●キーワード(4つ): 「媒介者」の役割,担い手の多様化,無形文化財保全運動, 江州音頭
◇12:30-13:45 昼休み(周辺食堂が混むので75分)
■ 第2部 13:45-16:00 (座長=帯谷博明)
13:45-14:30
▼報告(4) 杉本佳子(法政大学)
原子力政策における意思決定のあり方と市民参加—原子力政策円卓会議とプルサーマル問題を事例に—
●内容要旨(400字以内):
本稿は、原子力政策の意思決定過程における市民参加の動きを行政の政策努力としての市民参加(原子力政策円卓会議の事例)と、運動の問題解決努力として の市民参加(新潟県柏崎刈羽の住民投票運動を中心とするプルサーマル問題の事例)という2つの側面から実証的に把握することを通じて、原子力政策における 意思決定のあり方を検討しようとするものである。原子力問題を意思決定の観点から考察するにあたって、(1)「決定圏/被影響圏」という対概念を提示し、 その配置と受益圏/受苦圏の配置との連関の把握を試み、(2)取り組みの場としての「アリーナ」を決定アリーナ/討議アリーナ/意見表出アリーナに分節化 した。原子力政策の文脈では、閉鎖的受益圏の階層構造における中核的受益圏が決定圏を構成し、受苦圏の代弁主体がそこから排除され被影響圏におかれ続けて きたことにこそ問題があり、このような構造の変革を本稿は「市民参加」と位置づける。
●キーワード(4つ):原子力政策、市民参加、決定圏/被影響圏、アリーナ
14:30-15:15
▼報告(5) 矢作友行 (法政大学)
環境問題の原因究明・対応過程における不確実性のメカニズムと判断の過誤—熊本水俣病問題と杉並病問題−
●内容要旨:
本稿の課題は,不確実性を鍵概念として,環境問題の解明と解決に有効な知を提供することである。不確実性としての環境問題は,因果関係の不確実性に注目 すれば,「原因の不確実性が主要な焦点となる問題」「結果の不確実性が主要な焦点となる問題」「原因の不確実性と結果の不確実性の両者が焦点となる問題」 という3類型を区別できる。本稿は,原因究明と行政対応の関係に着目しつつ,主に原因の不確実性に照明をあてるものである。
本稿では,まず,(1)不確実性としての環境問題にアプローチするための基礎概念群を整備した。その上で,熊本水俣病問題と杉並病問題を事例に,不確実 性としての環境問題の原因究明・対応過程において,(2)いかなる不確実性がいかにして生み出されるのか,(3)いかなる判断の過誤がいかにしてもたらさ れるのか,(4)(2)(3)の克服にはいかなる規範的原則が実現されるべきか,という三つの主題を探究した。
●キーワード(4つ):
不確実性としての環境問題,原因究明の段階性と二文脈,原理的過誤/経験的過誤,前提原則/基本4原則
15:15-16:00
▼報告(6) 富田涼都(東京農工大学)
「自然再生」の枠組みに関する考察–「人と自然のかかわり」と日常の世界から–
●内容要旨 :
霞ヶ浦ではNPOの提案で市民参加型の公共事業がおこなわれ、保全生態学的な裏づけのもと湖の「自然再生」が取り組まれている。また、同時に湖とひとの 「かかわり」を再生する模索も知識の啓蒙と子どもの自然体験の増加というかたちで行われている。本研究では、霞ヶ浦で最大規模の水辺の植生復元事業などが 展開している石岡市関川地区を対象として、ひとびとのライフヒストリーを通したローカルな「人と自然のかかわり」の変化を環境史的な視点で分析すること で、生態工学的事業や知識の啓蒙では乗り越えられない「かかわり」の再生が地域社会のもつ課題と密接に絡んでいることを明らかにした。その上で、近代化を もその中に取り込むような側面も見せる「日常」の動態性に注目しつつ「かかわり」のあり方の理念的な枠組みを考察することで、環境決定論やコモンズ論など が暗に想定しがちな、静態的な「あるべき姿」を乗り越えた「地域」像の可能性を示唆する。
●キーワード:自然再生 人と自然のかかわり 日常 地域
◇16:00-16:15 休憩(15分)
■ 第3部 16:15-17:45 (座長=鬼頭秀一)
16:15-17:00
▼報告(7) 金 潔華(埼玉大学)
環境問題における住民参加 —- 千葉県三番瀬を例として—-
●内容要旨:
持続可能な社会を構築するためには、環境に対して十分に配慮した計画や事業を行うことが必要である。そのため、環境計画策定の際、住民の幅広い意見、地域に対する詳しい知識を生かすことが重要である。しかし、住民参加は重要視されつつあるが、現実には色々問題点がある。
そこで、本研究は、事例考察を通じて地域環境計画策定における住民参加の実態、問題点とその原因を検討する。具体的には、千葉県三番瀬環境再生計画の策定における住民参加を例として取り上げ、その取り組み、参加のあり方、合意のプロセスなどの実態を考察した。
また、アンケート調査や聞き取り調査を通じて、三番瀬住民参加の特徴、問題点と限界について検討を行った。その結果、住民参加を促進するために様々な努力 が行われてきたにもかかわらず、参加者の属性の偏り、時間や地域の制限などの問題が明らかになった。その原因探るために、事例の特殊性と普遍性、そして社 会構造の面から分析する必要がある。
●キーワード(4つ):
環境計画 住民参加 三番瀬 合意のプロセス
17:00-17:45
▼報告(8) 本田裕子(東京大学)
野生復帰による野生生物の新たな価値創出に関する研究
●内容要旨:
2005年に兵庫県豊岡市において、コウノトリの野生復帰が行われる。野生復帰は、学術的な試みの要素が強く、地域の人は、放される生物との「共生」を 強いられる可能性が高い。しかし、聞き取り調査及びアンケート結果を行った結果、地域の人は、コウノトリとの「共生」を、農業、環境、教育といった生活の 視点から捉えなおし、コウノトリに生活に根ざした価値を創出していた。地域の人が「希少な」コウノトリをどのように生活の視点から捉えなおしているかを、 セルトーの「戦術」の概念を用いて明らかにしたところ、行政が進める野生復帰という意味では「弱者」である地域の人が、コウノトリとの「共生」を生活の ニーズに合わせて活用したといってよい。
従来の野生生物保護は、野生生物の「生存」を重視し、地域の人に野生生物との「共生」を強いることにもつながっているが、本論文では、『価値創出型』野生生物保護の重要性を提示できたと考えている。
●キーワード:野生復帰、「戦術」、「共生」、価値創出型保護
◇17:45-18:00 全体の講評(嘉田由紀子・舩橋晴俊)+事務局からの連絡
■ 第4部 懇親会
18:45-21:00 懇親会
*「修士論文発表会」全般に関する問い合わせ先:
鬼頭秀一(恵泉女学園大学)  e-mail: kitoh@keisen.ac.jp
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□発行 環境社会学会 会長・嘉田由紀子(京都精華大学)
事務局
060-0810 北海道札幌市北区北10西7
北海道大学大学院文学研究科 宮内泰介
e-mail kankyo@reg.let.hokudai.ac.jp
http://wwwsoc.nii.ac.jp/jses3/
□編集 田窪祐子(運営委員 富士常葉大学)takubo@fuji-tokoha-u.ac.jp
□メールアドレス・住所・所属など個人情報の変更、その他のお問い合せは
学会事務局(kankyo@reg.let.hokudai.ac.jp)まで
□年会費の振り込みは、郵便振替口座:00530-8-4016 口座名:環境社会学会
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