第67回環境社会学会を以下の要領で開催いたします。今大会は対面方式での開催といたします。ただし、大会開催校からの中止要請があった場合や、新型コロナウィルスの感染状況によっては、開催方式を変更せざるを得ない場合も想定されます。その場合はなにとぞご寛恕ください。変更の際はメールマガジンや学会ウェブサイトでご連絡いたします。なお、開催方式が変わっても参加費の変更はありません。また、締切日までに参加申込がない場合は大会参加はできませんのでご注意ください。
日程・会場
・日程:2023年6月10日(土)~6月11日(日)
・スケジュール:
6月10日:東北学院大学土樋キャンパス
午前:自由報告・実践報告
午後:総会・大会シンポジウム「負の記憶を紡ぐー伝えること、伝わることの困難の先へ」
6月11日:石巻エクスカーション
エクスカーション
・A:石巻市内コース 仙台駅08:30集合、仙台駅16:00解散予定
▼主な行き先:伝承交流施設MEET門脇、震災遺構門脇小学校、IRORI石巻にて一般社団法人フィッシャーマン・ジャパンのお話
・B:北上雄勝コース 仙台駅08:30集合、仙台駅18:30解散予定
▼主な行き先:震災遺構大川小学校、防災集団移転団地にっこり団地、平地の杜、雄勝ローズファクトリーガーデン
*エクスカーションの申し込みは終了しました。
参加費
・初日のみ(自由報告・シンポジウム・総会):会員(終身会員も含む)2500円、学生会員1500円、非会員3500円、学生非会員2000円
・エクスカーション(石巻市内コース):13000円程度(バス代・昼食代・施設見学料・語り部、ガイド代等含む)
・エクスカーション(北上雄勝コース):16000円程度(バス代・昼食代・施設見学料・語り部、ガイド代等含む)
*参加申込み締切後に参加費を確定するため、確定額は後日お知らせします。参加費徴収システムは前回大会と同様です(銀行振込に対応しました)。
参加申込み方法及び申込み締切日
・2023年5月22日(月)23:59で申し込みを締め切りました。
・事前受付していない方は大会に参加できませんのでご注意ください。
・参加費振込は申込み締切後にお知らせするPayventのサイトからとなります。エクスカーションの費用も合わせてお知らせします。
◇問い合わせ(開催校事務局):kaneko[at]mail.tohoku-gakuin.ac.jp ([at]を@に変更してください)
宿泊についての注意(重要)
今大会は宿泊施設の斡旋は行いません。各自でJR仙台駅付近のホテルを確保願います。なお、昨今は宿泊施設が需要過多傾向にあることに加え、大会2日目の6月11日には石巻復興マラソンが行われます。期間中の仙台市内のホテルの価格も高めとなっています。大会関係者や参加者のなかには仙台駅付近に宿泊する方も少なくないことが予想されるため、お部屋の確保はどうぞ早めにお済ませ下さい。
自由報告・実践報告(締め切りました)
自由報告のほか、第62回大会より実践家・NGO・NPOとの連携を推し進めるため「実践報告」を新設しております。環境社会学会の特徴として、現場・現実社会との緊張関係の中での学問的模索の中から様々な展開が得られてきたことがあります。学会大会においても、実践活動をされている方々の報告機会を増やすことで、会員の学的交流・実践的交流を活性化させたいと考えています。従来の自由報告の枠に収まりきらない、実践家、NGO・NPO・行政職員等の立場でご活躍されている環境社会学会会員の実践の取り組みをご報告いただく機会として、ご活用ください。ただし、エビデンスに基づかない報告や政治的主張のみの報告などは、報告をご遠慮いただくこともあります。
◇持ち時間:自由報告・実践報告ともに1報告あたり35分(報告20分+質疑15分)を基本とします。(報告数により変更になる場合があります)
◇申込締切:2023年4月30日(日)
◇申込方法:下記の宛先へEメールにてご応募ください
※非会員の方は、申込時までに入会手続きを済ませてください。
※申込締切から1週間程度で担当より受理/不受理の通知を致します。
※年会費の未納期間がある場合は、報告をお断りすることがあります。
◇申し込み時の記載事項:
(1)報告種別(自由報告/実践報告)
(2)報告タイトル
(3)報告者氏名・所属
(4)連絡先(住所・電話・Fax・Email)
(5)報告要旨(※以下の注意事項をご確認のうえWordファイルでご提出ください)
◇報告要旨の形式(Wordファイルでご提出ください):
・要旨集は各報告2頁(A4)で組みます。1頁あたり40字×40行で、報告タイトルと報告者氏名・所属を含み、2頁以内に収まるよう、字数を調整してください。
・報告の応募の際の要旨執筆、および報告原稿作成時において、誤字脱字、内容に関する引用トラブル、フォーマットからの逸脱による報告要旨集作成時のトラブルなどが相次いでおります。ご自身によるチェックの徹底をお願い致します。
・要旨集に掲載されたタイトルを報告時に変更することのないようご留意ください。
◇申込受理後のお願い:
申込が受理されましたら、必ず大会の参加申込みも行ってください。参加申込みがない場合は報告をお断りする可能性があります。
大会シンポジウム「負の記憶を紡ぐー伝えること、伝わることの困難の先へ」
◇登壇者
報告者:藤間千尋(公益社団法人3.11メモリアルネットワーク理事)、高橋広子(石巻市震災遺構展示担当学芸員)、椙本歩美(国際教養大学)、青木聡子(東北大学)
司会・解題:高崎優子(北海道教育大学)
趣旨
戦争や公害、災害など、経験した人びとの痛みや喪失を伴う記憶を「負の記憶」と呼ぶならば、それが語られ、聞かれる場は、未来への教訓を伴った場として設定される。もちろん、「負の記憶」を他者に向かって開き、語ることは容易なことではない。話すことそのものに対する痛みもあれば、それを語るのが私でいいのか、というためらいや後ろめたさがついて回ることもある。ようやく絞り出された言葉を聞き手が受け止めることもまた、困難を伴う。痛みの起点となる出来事への距離の違い、そして出来事をめぐる解釈の違いはときに人びとを分かつ「隔たり」となり、語られても聞かれず、社会的な力を獲得できない場合もある。東日本大震災では、その被害の広範さや複雑さから、このような「隔たり」の存在が発災当初より指摘されてきた。その存在は、被災地と非被災地のあいだ、被災者と非被災者とのあいだ、そして被災者と被災者とのあいだにおいてさえ、互いへの理解を難しくしてきた。
この12年の間、「復興」とともに土地の風景がときに容赦のないほど変わり続けてきた被災各地では、コロナ禍も相まって現地を訪れる人びとの数は減り続けている。震災を知らない世代も増え、記憶の風化が懸念され始めてもきた。震災をめぐる記憶の風化は、さきのような隔たりが、埋まらないまま社会の中に沈殿していくことを意味する。時間もまた出来事と私たちとを分かつ隔たりであるから、その経過とともに隔たりが増幅し、社会全体が震災から遠ざかっていくのも不条理とはいえない。だが一方で、あの日以来の経験や教訓を継承しようとする試みも数多行われ、草の根的な語り部活動や震災遺構の整備などが進められてきた。「震災を伝える」という極めてシンプルにも思える行為は、さまざまな、そして幾重もの隔たりのなかで、誰が/誰に/何を/どのように/なぜ/伝えるのか/伝わるのか、といった実践的かつ根源的な問いと向き合い、葛藤しながら、積み重ねられてきたといってよいだろう。
こうしたことは、負の記憶の伝承が、なによりもまず他者との間で立ち上がるコミュニケーション行為であることを改めて認識させる。話すことは一方的に話すことではないし、聞くことは一方的に聞くことではない。語り手と聞き手の立場すら、固定的ではないだろう。そして、伝承がコミュニケーション行為であるからこそ、負の記憶を伝え、受け止めることの困難だけでなく、それをともに紡いでいくことの可能性もまた、見えてくるのではないだろうか。
本シンポジウムは、エクスカーションの舞台でもある宮城県石巻市で、語り部活動の支援や遺構展示などの実践を通じて震災伝承に深く携わってきたお二人の方による報告、そして、戦争体験や住民運動の語り継ぎに向き合ってきた研究者による報告から構成される。出来事の経験と記憶とをめぐって、それぞれの立場やいとなみが抱えてきた困難とその目指すところとを交差させながら、負の記憶を未来への回路とするためにどのような方途があるのかを考える機会としたい。
高崎優子 震災・原発事故特別委員会