第54回 環境社会学会大会(関西大学)大会最終プログラム
■開催概要
【日時】2016年12月4日(日) 9:00~17:00(予定)
【場所】関西大学 吹田キャンパス 第3学舎1号棟(社会学部)
【開催校連絡先】大門信也 sdaimon〔アットマーク〕kansai-u.ac.jp
【大会参加費】一般会員:2000円 院生会員:1000円 非会員:2000円
■ 大会スケジュール(予定)
8:30受付
9:00~12:30 自由報告
13:30~17:00 シンポジウム
■ 交通案内
【最寄駅】阪急千里線「関大前駅」参考:http://www.kansai-u.ac.jp/global/guide/access.html
□ 大阪(梅田)からのアクセス
阪急電鉄「梅田」駅から千里線「北千里」行で「関大前」駅下車(この間約20分)。または京都「河原町」行(通勤特急を除く)で「淡路」駅下車、「北千里」行に乗り換えて「関大前」駅下車。
□ 京都(河原町)からのアクセス
阪急電鉄「梅田」行で「淡路」駅下車、「北千里」行に乗り換えて「関大前」駅下車。
□ 新幹線「新大阪」駅からのアクセス
JR「新大阪」駅から地下鉄御堂筋線「なかもず」行で「西中島南方」駅下車、阪急電鉄に乗り換え「南方(みなみかた)」駅から「淡路」駅を経て「関大前」駅下車(この間約30分)。
□ 大阪(伊丹)空港からのアクセス
大阪モノレール「大阪空港」駅から「門真市(かどまし)」行で「山田」駅下車、阪急電鉄に乗り換え「関大前」駅下車(この間約30分)、徒歩約5分。
【最寄り駅から会場へのルート】
ルート1(三重線):北改札を出て商店街を経由し、正門の手前で右折して第3学舎1号棟に到着します。遠回りですが階段がありません。
ルート2(点線):北改札を出てすぐの西門から入り、階段で第3学舎にアプローチし、学舎を回り込んで1号棟に到着します。最短のコースですが階段があります。
ルート3(実線):南改札を出て目の前にある南門から入り、階段と坂を上って第3学舎に南側からアプローチし、学舎を1号棟に到着します。
■ 宿泊について
大阪駅・梅田駅周辺のホテルがもっとも便利です。斡旋はいたしません。
■ 昼食について
会場周辺の飲食店をご利用ください(上記ルート1にある商店街が便利です)。お弁当の手配はいたしません。
■ 託児について
大学内での出張託児サービスを手配中です。詳しくはメルマガでご案内いたしますが、ご希望の方は開催校担当大門まで、年齢(○歳○ヶ月)およびご希望の時間を事前にお知らせいただければ幸いです(見込みで構いません)。
■ 大会事務局
自由報告:森久聡(京都女子大学)
シンポジウム:足立重和(追手門学院大学)
会場校:大門信也(関西大学)
■自由報告 9:00~12:30
部会A 「理論と言説」
A-1 菊澤育代(九州大学)「コミュニティと場所――実践的環境倫理からの考察」
A-2 須摩桃子(明治大学)「イギリスにおける環境正義論の持続性に関する考察――アメリカとの比較を通して」
A-3 足立重和(追手門学院大学)「生活環境主義のコミュニティ分析」
A-4 藤田 渡(大阪府立大学)「里山のエコロジカル・ナショナリズム序論」
A-5 富井久義(筑波大学)「森林ボランティア活動における都市住民のコモンズ形成――鳩ノ巣フィールドにおける活動の社会的意義の語り方に注目して」
部会B 「制度と構造」
B-1 大倉三和(立命館大学)「開発途上国における順応型資源管理上の課題――バングラデシュ潮汐氾濫原における萌芽的事例から」
B-2 武田 淳(人間環境大学)「なぜ自然保護区は麻薬取引を助長させるのか――コスタリカ国立公園制度の構造と実際」
B-3 三上直之(北海道大学)+山下博美(立命館アジア太平洋大学)「英虞湾の沿岸遊休地での干潟再生事業をめぐる住民の認識」
B-4 奥田 絵(関西学院大学)「大規模公共事業における補償概念の再検討――「正当な補償」をめぐる生活の視点から」
■ 2016年秋大会シンポジウム企画 13:30~17:00
人と自然のインタラクション――動植物の共在から考える
これまでの環境社会学では、開発行為がなされようとする場所に、人間と自然の豊かなつきあいがあったことを明らかにしてきた。たとえば、コモンズ論は、近代法の公的―私的所有・管理から外れた、自然をめぐる「共的」な所有・管理があることを指摘してきた。また、半栽培論は、栽培―野生の連続体のなかに、人間が不完全に栽培・管理し、残りの部分は自然のまま放置するという栽培のありかたを見出したし、マイナーサブシステンス論も、自然とのかかわりのなかで、人々が単純な技術や技法を用いて自然物の獲得を競い合う「楽しみ」の重要性を強調した。これらの研究の流れから、本シンポジウムで焦点をあてたいのは、人と自然のあいだにある「インタラクション」(interaction)である。
ここでいうインタラクションの含意であるが、ふつう社会学では、この概念を「相互行為」と訳すであろう。環境社会学的に言えば、人は自然に働きかける、と同時に、自然も人に働きかけることにより、人の生活も自然の生活も豊かになる――このようなイメージがこの概念にはある。だが、もう一つの訳語に「相互作用」があり、人間が自然に働きかけることによって、自然だけでなく当の人間にも変容を強いる、と同時に、自然の側も人間に働きかけることによって、人間だけでなく自然自らをも変容を強いるという含意もある。しかし、近代化は「人間的・人為的であること」と「自然的であること」を明確に境界づけようとする試みであった。コモンズ論や半栽培論は、そのような近代化への批判として、人間と自然のあいだにあるあいまいな境界領域に焦点を当てるものだと言えよう。
ところが他方で、現代の科学技術は、コモンズ論や半栽培論が掘り当てた伝統的な生業におけるあいまいさとはまったく異なった仕方で、「人間的・人為的であること」と「自然的であること」を混ぜ合わせている。たとえば、われわれが日々口にする野菜が徹底的に合理化された「植物工場」から出荷されていたりすること、あるいは、原発事故を含めてあらゆる環境問題は、「人間的・人為的であること」と「自然的であること」の奇妙な混交物(ハイブリッド)であると言えるかもしれない。
このように述べると、人と自然のインタラクションという現象は、開発行為への抵抗点になる側面から、人間や自然を疎外する側面まで、(環境)社会学にとって考えなければならない問題を含みこんでいる。実証科学としての環境社会学にとって、現代における人と自然のインタラクションはどうなっているのか。また、規範科学としての環境社会学にとって、はたして人と自然のインタラクションはどうあるべきなのか。本シンポジウムでは、これらの問いかけを中心に考えを深めていきたい。
【発表者】(以下、敬称略)
山 泰幸(関西学院大学、環境民俗学・社会学)
宮内泰介(北海道大学、環境社会学)
卯田宗平(国立民族学博物館、環境民俗学)
岩井雪乃(早稲田大学、アフリカ地域研究・環境社会学)
【コメンテーター】
大塚善樹(東京都市大学、環境社会学)
牧野厚史(熊本大学、環境社会学)
【司会】
福永真弓(東京大学、環境社会学)