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メールマガジンアーカイブ

メールマガジン-第56号

By 2005年3月5日No Comments

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■■       環境社会学会メールマガジン          ■■
第56号 2005/3/5
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目 次
■特別研究例会「修士論文発表会」のお知らせ
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┃■┃2004年度 環境社会学会特別研究例会
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「環境社会学・修士論文発表会」のお知らせ
■日時:2005年3月12日(土)13:00〜17:00
■場所: 法政大学市ヶ谷キャンパス
大学院棟(92年館)4階・401教室
(http://www.hosei.ac.jp/gs/access/access.html)
主催=環境社会学会
企画担当=池田寛二[法政大学]+大倉季久[法政大学大学院]
<会の趣旨>
本特別研究例会は、狭義の環境社会学のみならず,広義の環境社会学会関連の修士論文の成果を発表していただき,じっくり議論ができるようにしたいと考えています。
修士論文発表会は今年で4年目になりますが、毎回,刺激的なコメントが飛び交い,発表者,聴衆の双方にとって新たな発見のある充実した集まりになっています。
他大学大学院で同分野を研究している院生の学的出会いの場,さらに博士課程進学後の研究テーマを展望するうえでも貴重な意見交換の場にできればと思っています。また,修士1年次の皆さんにとっても自分の修論執筆の参考になるだろうと思います。どうか奮ってご参加ください。
<プログラム>
◇13:00 企画担当者挨拶(池田寛二)
■第1部 13:10〜15:20 (司会者 調整中)
▼第1報告  13:10〜13:50
手塚佳介氏(筑波大学)
島根県江の川流域における漁業活動と漁場利用をめぐる地先慣行
●内容要旨
本研究は中国地方の江の川流域(幹線流路194km・流域面積3872・)における漁業活動を題材に、共有資源(コモンズ)の利用と管理における特性を検討するものである。2003年度に島根県羽須美村の西之原集落(44人・17世帯)を中心に参与観察と聞きとりによる調査を行った。漁業活動の実態を把握し河川行政の資料と合わせた結果、漁場利用においては地先集落による入会慣行が機能していた。考察の結果、コモンズ利用管理においては、(1) 河川状況への対応と、(2)社会組織に基づいたゆるやかな規制という2つの柔軟性があり、それは利用主体の社会組織と密接に連動していることを明らかにした。また、漁業者の生活において非制度的な漁場利用の慣行を周囲に保障させる要素があると分析した。
▼第2報告   13:55〜14:35
林昌宏氏(神戸大学)
環境保全における住民運動の役割:西宮甲子園浜埋立公害反対運動の展開過程を事例に
●内容要旨
本研究の目的は、1971年から1983年にかけて、兵庫県西宮市において展開された西宮甲子園浜埋立公害反対運動の事例分析を通じて、環境保全における住民運動の役割とその可能性について考察することにある。
西宮甲子園浜埋立公害反対運動は、兵庫県の臨海部開発計画(このケースでは港湾計画)に対して、港湾法・運輸省令の環境配慮条項違反を法的根拠とした全国初の行政訴訟(港湾計画取消請求訴訟)を展開するなど、公害被害の発生を事前に予測、それを防止することを目的とした住民運動であり、その活動は多岐にわたるものであった。そして、それが果たしえた成果は、既に着工していた公共事業(港湾計画に基づく埋立工事)を地元住民が一時中断、変更へと至らしめるという全国でも類を見ない特徴を持つものとなったのである。本研究では、この事例の分析を通じ、環境保全における多面的な役割を、住民運動がどのように担い得るのか、そして住民運動の展開が行政との関係(対立関係から協働関係への変容)にどのような影響を及ぼすのかを考察していく。
▼第3報告  14:40〜15:20
松井理恵氏(筑波大学)
環境運動における戦略的パターナリズムの可能性:韓国大邱市三徳洞のマウルづくりを事例として
●内容要旨
本報告で事例とするのは、韓国大邱市三徳洞でおこなわれている、住民主導の地域づくり、マウルづくりである。この運動を先導する市民運動家Kさんは、三徳洞の住民と「ともに」マウルづくりを展開しようとしたにもかかわらず、住民は彼に背を向けた。つまり、Kさんの目論見は外れたのである。この背景には、運動が必然的に内包するパターナリズムの問題が存在する。すなわち、環境運動を担うNGOと住民との力関係の露呈が、運動の失敗の原因であったのである。
運動の限界に直面したKさんは、みずからがマウルづくりの表舞台から身を引くことによって、この限界を打開しようとした。つまり、運動のパターナリズムを乗り越えるために、パターナリズムを相対化したうえで戦略的に利用したのである。本稿では、Kさんのこの試みを「戦略的パターナリズム」と呼ぶ。話し合いのみでは乗り越えられないような、さまざまな問題を抱える地域社会で運動を展開せざるをえない数々の環境運動に対して、この「戦略的パターナリズム」は、ひとつの有効な視座を提供できるのではないだろうか。
◇15:20〜15:35  休憩
■第2部 15:35〜17:00 (司会者 池田寛二[法政大学])
▼第4報告  15:35〜16:15
ブルックシュ・ズザンネ氏(専修大学)
日本国家は環境NGOにどのような政策枠組みを提示してきたか?(Japanische Umwelt-NGOs als Adressaten staatlichen Handelns)
●内容要旨
1992年に開催された国連環境開発会議(UNCED)以降、日本の環境政策はそのころにテクノクラシー的方策からより予防的解明的環境保護に変化してきた。その変化には日本の国家いわゆる政府、官僚などと市民団体の相互関係の変更も含まれるようだと考えられる。このように論文中、環境NGOに対して国家の関係性は協力的な関連に変わったのか、また、国家が環境NGOに対してどのような政治制度的な条件を設定していったのか考察し論じた。そして、その関係性を検討する際に、オルターナティヴ国家管理論に基づいてNGOの政治上管理機能を説明している。詳しく書けば、(1)批評・革新の機能、(2)合法性の機能、(3)審議・実施の機能がある。それから、環境NGOがこのような機能を果たすために、日本の国家が市民団体に対してどれだけ自由な活動範囲を認めているかと論述した。詳細はそれらが法律・情報的財政的資源、あるいは政策的協働の面から検討されている。
▼第5報告  16:20〜17:00
友澤悠季氏(京都大学)
飯島伸子における「公害問題」への視座:「環境問題」の再検討にむけて
●内容要旨
こんにち、「環境問題」はその解決へ向けて誰もが努力すべきものとして、いたるところで表明されている。しかし、たとえば「環境問題」の解決を人類共通の課題として設定することは、そこに内在する差別や格差の存在と、これによってもたらされる具体的な被害の状況を隠蔽する作用を持つ。報告者は、このような構造を支えているものの一つに、「公害問題」が「環境問題」へ移行したという単線史的な見方があると考える。 本報告では、この歴史観がどういった政治的・社会的・歴史的経緯から生成してきたかを検討するため、「公害問題」が「環境問題」の歴史の内部に包摂されていくプロセスを体現した人物として、飯島伸子に着目した。特に、1960年代後半から80年代までの著作に焦点をあてることにより、「公害問題」と「環境問題」が同一線上に置かれていく契機とそのありようを考察する。
◇17:00 全体の講評 + 事務局からの連絡
■ 第3部 懇親会
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□発行 環境社会学会 会長・嘉田由紀子(京都精華大学)
事務局
060-0810 北海道札幌市北区北10西7
北海道大学大学院文学研究科 宮内泰介
e-mail kankyo@reg.let.hokudai.ac.jp
http://wwwsoc.nii.ac.jp/jses3/
□編集 平林祐子(運営委員 富士常葉大学)hirabayashi@fuji-tokoha-u.ac.jp
□メールアドレス・住所・所属など個人情報の変更、その他のお問い合せは
学会事務局(kankyo@reg.let.hokudai.ac.jp)まで
□年会費の振り込みは、郵便振替口座:00530-8-4016 口座名:環境社会学会
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