修論・博論発表会を2025年3月22日にオンラインで開催いたします。会員以外の方も参加可能ですので、ぜひご参加くださいますようお願い申し上げます。
環境社会学会特別例会 修論・博論発表会
2024年度環境社会学会特別研究例会「修士論文・博士論文発表会」を下記のとおり開催いたします。環境社会学会主催の修士論文・博士論文発表会は、同分野の研究に取り組む大学院生の出会いや交流の場として、また、さらなる研究の進展に向けた情報・意見交換の場として役立たせていただくための場です。会員ならびに非会員の皆様に広くご参加いただき、活発な意見交換の場とさせていただきたく存じます。
開催概要
日時:2025年3月22日(土)13:30~16:00(予定)
会場:オンライン(Zoom)
発表時間:1人当たり40分(発表20分+質疑応答20分)
*zoomのURLおよびプログラム詳細について:会員のみなさまには後日メールマガジンにてお知らせいたします。非会員のみなさまは下記のボタンからお申し込みください。19日までにお知らせいたします。
報告予定者とタイトル
- 藤田青空(北海道大学文学院 人間科学専攻 地域科学研究室)
「高齢化・固定化する森林ボランティアの活動における複層的な意味」 - 山田龍之介(上智大学 総合人間科学研究科 社会学専攻)
「原発政策を巡る〈討議型市民参加〉の機能不全要因-『柏崎刈羽原子力発電所の透明性を確保する地域の会』のドキュメント分析を中心に-」 - 山崎正太郎(北海道大学文学院 人間科学専攻 地域科学研究室)
「屋敷林『イグネ』のある暮らしと自立の論理」
要旨
高齢化・固定化する森林ボランティアの活動における複層的な意味(藤田青空)
本研究は、北海道当別町で活動する「当別森林ボランティア シラカンバ」を事例として、森林整備を目的として活動している森林ボランティアが高齢化・固定化している現状に着目し、これらの現状がボランティア参加者にとってどのような意味を持つのかを明らかにすることが目的である。
活動に対する意味づけとして、参加者にとって森林ボランティアは、自然の中で楽しむ「遊び」や任された「仕事」を遂行すること、仲間と過ごす「居場所」をもたらす活動として複層的な意味を持っている。高齢化・固定化によって、森林ボランティアの活動を継続していくことに課題はある。
しかし、森林ボランティアの活動が複層的な意味を持つことによって、さまざまな楽しみ方をしながら継続することができ、参加者同士の結びつきが強まるなど、参加者が高齢になったとしても参加を許容できる環境があることが明らかになった。
キーワード:森林ボランティア、高齢化、固定化、居場所
原発政策を巡る〈討議型市民参加〉の機能不全要因:「柏崎刈羽原子力発電所の透明性を確保する地域の会」のドキュメント分析を中心に(山田龍之介)
今日,一般市民の参加による政治的熟議は日本でも各地で行われており,かつてテクノクラシーといわれた航空行政,及び河川行政においても,〈討議型市民参加〉として進展が見られる.しかし,原発政策に関しては,まさに〈討議型市民参加〉が必要であるといわれているにもかかわらず,それらの試みがいずれも機能不全に陥っている.20世紀の三大テクノクラシーともいえる航空行政・河川行政・原子力行政の中で,なぜ原子力行政では〈討議型市民参加〉が有効に機能しないのか.本研究では,原発を巡って国内で唯一継続的に〈討議型市民参加〉を試みてきた「柏崎刈羽原子力発電所の透明性を確保する地域の会」の事例を中心にドキュメント分析を行った.アリーナの不成立と政策立案実施者の不在構造という点に注目し,〈討議型市民参加〉が機能不全に陥る要因を検討した結果,コミュニケーションの場が実質を失い空洞化していく原子力行政特有の陥穽が明らかになった.
キーワード:討議型市民参加、原発政策、テクノクラシー、アリーナ、地域の会
屋敷林「イグネ」のある暮らしと自立の論理(山崎正太郎)
世界農業遺産「大崎耕土」の構成要素でもある宮城県大崎地域の屋敷林「イグネ」は、維持・管理の負担が相対的に拡大していることや、持ち主の高齢化など、保全に向けた課題が山積しているとされる。一方で、今日でもイグネが維持されている家も多い。課題があるとされながらも、なぜイグネは維持されているのか。本論文では、イグネを持つ住人を対象とした生活史などの聞き取りをもとに、イグネが維持され続ける論理を明らかにすることを試みた。
イグネの植生は住人による選別を経て変化していて、利用しやすいように改変されてきた。こうして手が加えられてきたイグネからは果樹や山菜などの産物が得られ、それらの産物は現在でもお裾分けして人と交流するというように住人の生活に楽しみをもたらしている。自らのイグネから産物が得られることに住人は意味を見出していて、その産物を得るためにもイグネを自らの手で維持することを重視するという自立の論理があるといえる。
キーワード:屋敷林、イグネ、生活史、環境史、世界農業遺産
お問い合わせ
研究活動委員・藤川賢(明治学院大学)
fujikawa[at]soc.meijigakuin.ac.jp
研究活動委員・ 藤田研二郎(法政大学)
fujita[at]hosei.ac.jp
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