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メールマガジンアーカイブ

メールマガジン-第99号

By 2007年5月15日No Comments

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■■         環境社会学会メールマガジン         ■■
第99号 2007/5/15
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目次
■ 第35回セミナー(兵庫県豊岡市)のお知らせ
■ JST-社会技術研究開発事業 提案募集について
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┃■┃ 第35回セミナー(兵庫県豊岡市)のお知らせ
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2007年春の第35回セミナーは、下記のようにコウノトリの野生復帰の現場、兵庫県豊岡市で行うことになりましたのでお知らせします。
【日時】2007年6月22日(金)~24日(日)
【場所】兵庫県豊岡市:ホテルブルーきのさき、豊岡市城崎町総合支所、他
【参加費】
一般会員32,000円程度、学生・院生は25,000円程度
※宿泊費2泊分、エクスカーション代、懇親会費、23日昼食代を含みます。宿泊数、懇親会参加の有無などにより参加費が変わります(上記は全日程参加の場合の参加費です)。
なお今回は収容人数や移動等の関係から、名湯・城崎温泉に宿泊します。
【参加申し込み・期限】
下記の各項目をご記入の上、なるべく電子メールにて5月28日(月)までにセミナー事務局宛お申し込み下さい(ニューズレター同封のハガキでも可)。
○申し込み先:35seminar@stork.u-hyogo.ac.jp
・名前
・所属
・住所
・電話番号、ファックス番号、メールアドレス
・学生/一般 の別
・性別(女/男)
・22日宿泊(ブルーきのさきに宿泊する/宿泊しない)
・23日宿泊(ブルーきのさきに宿泊する/宿泊しない)
・懇親会(参加する/参加しない)
・希望するエクスカーション(第1希望  /第2希望  /参加しない)
・託児所(利用する/利用しない)
【テーマ】野生動物との共存を問い直す
2005年9月24日、兵庫県豊岡市で5羽のコウノトリが大空へ放たれました。この放鳥はメディアで盛んに取り上げられたので、ご存知の方も多いでしょう。コウノトリは、全長約110cm、体重は4‐5kg、翼開長(翼を広げた長さ)は220cmもなる、水辺に生息する大型の鳥類です。日本では、田んぼや湿地を餌場にし、松の大木などに巣をかける「里の鳥」でした。まさに里の鳥として、江戸時代には全国的に見られたコウノトリが野生絶滅したのは、 1971年のことです。
最後の生息地となった豊岡では、一度野生下で絶滅したコウノトリを、飼育下で繁殖し、再び野生に戻すという野生復帰プロジェクトが進行中です。飼育下繁殖による増殖、農薬や化学肥料に頼らない農業、田んぼや河川の自然再生、里山の整備などさまざまな取り組みが進められています。安全な米と生きものを同時に育む「コウノトリ育む農法」に取り組む農業者が現れていますし、行政は「環境と経済の共鳴」を理念に地域づくりを進めています。よそ者の研究者が居を構え野生復帰の研究に携わっています。
地域住民、農業者、NPO、企業、行政、研究者等が協働(時に対立)しながら、飼育から「野生」へと意味変容するコウノトリとの共存と地域づくりのあり方を平行して模索しているところに、このプロジェクトの面白さがあるといっていいでしょう。ここでは、これまで対立すると考えられていた「環境/経済」、「人工/野生」、「安全/自然」、「保護/愛護」、「地元/よそ者」といった区分が問い直されています。
これまで野生動物との共存に関しては、生態学など自然科学の知が議論を引っ張ってきました。しかし、生態学のなかでも、生態系の重要な要素として人間社会を含む考えが出てきており、特に、野生復帰や自然再生といった「人間の介入」が自覚的で強くなっていく現場では、生態学と共に環境社会学の視点への期待が高まっています。
環境社会学は、コウノトリをはじめとする里に暮らす野生動物との共存という課題に対して、どのような論点と知識を提供できるのでしょうか。そんなことを考えるセミナーにしたいと思っています。
【スケジュール(予定)】
6月22日(金)
16:00  受付開始(ホテルブルーきのさき)
19:00  各種委員会
19:00  語り部(コウノトリの郷公園・元飼育長:松島興治郎さん)
6月23日(土)
8:30~13:30  エクスカーション(バス発着:ホテルブルーきのさき)
14:00~15:30 総会(城崎総合支所)
16:00~18:30 自由報告(城崎総合支所)
19:30~    懇親会(ブルーきのさき)
21:30~ 朝まで討論会
6月24日(日)
9:00~12:00 シンポジウム(城崎総合支所)
終了後解散
【エクスカーション(6月23日)】
豊岡市周辺で展開しているコウノトリの野生復帰を目指したさまざまな取り組みは、自然との共存、野生動物との共存を考える上で、示唆に富むものと考えられます。以下に予定する4つのコースの中で、これからの共存のあり方について考えていきたいと思います。
(1)「田んぼでコウノトリを育む」コース(定員40名)
田んぼに生息するドジョウ、フナなどを餌にする「農業生物」であったコウノトリと人は、田んぼという場で出会い、かかわっていました。田植え唄に歌われる一方で、田植えした直後の稲を踏み込むので、かつては「害鳥」として扱うこともあったようです。
農業生物であるコウノトリを野生復帰するためには、農薬や化学肥料に頼らない新たな農業の展開が求められます。豊岡では環境創造型農業に向けた取り組みが展開され、「コウノトリ育む農法」として技術の確立が目指されていいます。この農法は、ただ農薬や化学肥料の削減というだけではなく、田んぼで安全安心なおいしいお米と生きものを同時に育むことと、この農法を通して、コウノトリも棲める豊かな地域社会、環境づくりを目指しているところに特徴があります。豊岡農業改良普及センターの案内により、実践している田んぼを訪れ、農業者のお話を聞きます。
(2)「水害復興と自然再生を両立する」コース(定員40名)
2005年10月に近畿地方に上陸した台風23号は、円山川流域に豪雨をもたらし、破提による甚大な被害が生じ、豊岡市街地に代表される内水被害など円山川下流圏域全体で破滅的な被害が発生しました。浸水面積は4000haを超え、約10000戸が浸水被害を蒙りました。現在、国土交通省による円山川緊急治水対策が展開され、水害に強い円山川に向けて急ピッチで改修が進んでいます。
その円山川は日本海から遡ること16kmで海抜1mという低勾配を特徴とし、水害をたびたび起こし地域住民を泣かす一方で、広大な湿地に恵まれた流域は、豊かな生物層を育み、コウノトリの最後の生息地でもありました。河川改修が進む円山川はコウノトリの生息地として再生することも期待され、河川敷には湿地が造成されています。NPOコウノトリ市民研究所の菅村定昌さんと国土交通省の職員が、水害復旧と自然再生の両立を目指す現場を案内します。
(3)「環境と経済の共鳴を目指す」コース(定員25名)
豊岡市は、コウノトリの野生復帰を通して、環境を良くする取組みにより経済効果が生まれ、経済効果が生まれるからもっと環境を良くする取組みをするというように、環境と経済が相互に刺激しあいながら互いを高めあっていく「環境と経済が共鳴するまち」を目指した取り組みをすすめています。1)環境問題への取組みを持続可能にする、2)経済的に自立する、3)人々の暮らしを誇りあるものにする、という3つを目的とし、施策を展開しています。豊岡市コウノトリ共生課の佐竹節夫さんによる案内により、2002年8月に豊岡に飛来し、ハチゴロウの名で親しまれた野生コウノトリ(2007年2月に死亡)が利用していたことから湿地公園として整備されることになった「ハチゴロウの戸島湿地」、「コウノトリ本舗」などを回ります。
(4)「野生復帰を科学する」コース(定員25名)
一度絶滅した生物種の野生復帰をすすめるためには、飼育繁殖技術の確立、遺伝的に保証され性・年齢構成も考慮された飼育個体群の創出、再導入のための適地の用意とその環境の維持、再導入のための技術の開発、野生下に新たな個体群の確立、といういくつかのステップの実現が必要になります。ただ、里に生息するコウノトリの野生復帰はそうした自然科学的な取り組みにとどまりません。里での人びとの営みや自然とのかかわりを見直し、どう再生させるかという問題にもつながっていきます。野生復帰とは、コウノトリと共に暮らせる地域社会をつくる「地域再生」という総合的な取り組みなのです。1999年11月に開園した兵庫県立コウノトリの郷公園(兵庫県立大学自然・環境科学研究所)では、こうした課題の解決を目指した実践的な研究を進めてきました。郷公園の研究と実践を紹介します。
【自由報告(6月23日)】
A部会
司会:松村和則(筑波大学)
A-1.農地認識の違いにみる新規有機農業者の受け入れ
――茨城県石岡市八郷地区の取組みを事例として
閻美芳(早稲田大学大学院)
A-2.環境問題解決プロセスの蛇行性
――秋田県大潟村における水質改善農法研究の事例から
谷口吉光(秋田県立大学)
A-3.物乞いジカと襲撃グマ
――アメリカ西部国立公園における野生動物問題の環境史
加藤鉄三(立教大学非常勤講師)
B部会
司会:秋津元輝(京都大学)
B-1.街並み景観づくりと山村の内発的発展――山形県金山町を例に
奥田裕規(森林総合研究所)
B-2.流域ガバナンスにおける流域委員会の機能
――武庫川流域委員会の中間的検証
中川芳江((株)ネイチャースケープ)
B-3.NPOと行政との協働
――地方自治体における委託事業の現状と課題について
萩原なつ子(立教大学)
【シンポジウム(6月24日)】
テーマ「野生動物との共存を問い直す」
エクスカーションで、コウノトリとの共存を目指す取り組みが、「安全/自然」「環境/経済」、「人工/野生」、「保護/愛護」、「地元/よそ者」といった区分を問い直しながら、進められていることが示されると思います。それを踏まえシンポジウムでは、1990年からコウノトリ保護・増殖行政に携わっている佐竹節夫氏、コウノトリ育む農法に取り組んでいる畷悦喜氏、市民の立場から野生復帰に関わっている菅村定昌氏、よそ者の研究者として、広報マンとして、そして生活者として多様な活動を展開している池田啓氏、地域での環境保全を問い直している生態学者の佐藤哲氏という5人のパネリストの方々と、野生動物との共存と環境社会学の役割について考えます。
司会:
菊地 直樹(兵庫県立大学/兵庫県立コウノトリの郷公園)
パネラー(予定):
佐竹 節夫(豊岡市コウノトリ共生課)
畷 悦喜(コウノトリの郷営農組合)
菅村 定昌(NPO法人コウノトリ市民研究所)
池田 啓(兵庫県立大学/兵庫県立コウノトリの郷公園)
佐藤 哲(長野大学)
【第35回セミナー事務局】
セミナー実行委員:菊地直樹(事務局長)、金沢謙太郎、荒川康、帯谷博明(自
由報告)、丸山康司(アドバイザー)、研究活動委員会
問い合わせ先:
菊地 直樹(兵庫県立大学/兵庫県立コウノトリの郷公園)
〒668-0814 兵庫県豊岡市祥雲寺字二ヶ谷128 兵庫県立コウノトリの郷公園
TEL 0796-23-5666 FAX 0796-23-6538
E-mail:nkikuchi@stork.u-hyogo.ac.jp
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┃■┃ JST-社会技術研究開発事業 提案募集について
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社会の具体的な問題の解決を通して新たな社会的・公共的価値の創出を目指す当事業では、今回、下記3つの研究開発プログラムにおいて、研究開発プロジェクトの提案を募集します。
◇募集 研究開発プログラム◇
「犯罪からの子どもの安全」
「科学技術と社会の相互作用」
「ユビキタス時代のガバナンス」
◇応募締切◇
平成19年6月28日(木)正午
◇詳細情報◇
http://www.ristex.jp/koubo/
◇問い合わせ先◇
(独)科学技術振興機構 社会技術研究開発センター 公募担当
Tel.03-3210-1217 Fax.03-3210-1300
E-mail:pub-t@jst.go.jp
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□発行 環境社会学会 会長・寺田良一(明治大学)
事務局
〒422-8529 静岡県静岡市駿河区大谷836
静岡大学人文学部 平岡義和
e-mail  jkankyo@ipc.shizuoka.ac.jp
http://wwwsoc.nii.ac.jp/jses3/
□編集  西城戸誠(運営委員 法政大学)nishikido@hosei.ac.jp
□メールアドレス・住所・所属など個人情報の変更、その他のお問い合せは
学会事務局(jkankyo@ipc.shizuoka.ac.jp)まで
□年会費の振り込みは、郵便振替口座:00530-8-4016 口座名:環境社会学会
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