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■■ 環境社会学会メールマガジン ■■
第129号 2009/3/3
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目次
■ 修士論文発表会(特別研究例会)のお知らせ
■ 託児室世話人の募集
■ 世界社会学会議2010年ヨーテボリ大会の報告申込受付開始
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┃■┃ 修士論文発表会(特別研究例会)のお知らせ
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2008年度環境社会学会特別研究例会「環境社会学・修士論文発表会」を下記
のとおり東京大学・駒場キャンパスにて開催します。
環境社会学にかかわる修士論文の成果を発表していただき、じっくり議論が
できる場にしたいというのが本研究例会の趣旨です。毎回刺激的なコメントが
飛び交い、発表者、聴衆の双方にとって新たな発見や解釈がもたらされる充実
した集まりになっています。大学院生の皆さんにとって貴重な意見交換や交流
の場となるとともに、すべての研究者にとって意義深い討論の場となることと
思われます。どうぞ奮ってご参加ください。
日時: 2009年3月7日(土)13:30~16:30
場所:東京大学・駒場キャンパス・105号館2階 ビデオアーカイブ教室203号室
(http://www.u-tokyo.ac.jp/campusmap/map02_02_j.html)
(http://www.u-tokyo.ac.jp/campusmap/cam02_01_20_j.html)
主催=環境社会学会
企画担当=箕浦一哉(山梨県立大学)+丸山康司(東京大学)
<プログラム>
■開会の挨拶・事務連絡(13:30~13:35)
■第1部(13:35~14:55) 司会=西城戸誠(法政大学)
▼第1報告(13:35~14:15)
藤森智恵子(立教大学大学院)
摂食障害者の回復に果たす自助グループの役割に関する研究
○要旨:
目的:当事者側の視点から、摂食障害者の回復過程の検討、回復における自助
グループの役割について研究する。
方法:自助グループの参与観察、回復者のインタビュー、「mixi」に投稿され
た当事者の語りを対象として、エンパワーメント論とシンボリック相互作用論
を援用する。
結果と考察:回復とは他者・自己との相互作用による生き方・考え方の解釈を
修正する繰り返しである。自助グループのミーティングで、他者と自己の経験
を照らし合わせることで解釈の修正が行われる。しかし、我が国の多くの自助
グループは、月1~2回開催している程度であり、十分な相互作用が行えず解
釈の修正はされにくい。また、「安心できる居場所」として機能していて症状
の有無にこだわらないため、長期化を招きやすい。それに対し、「回復する」
と明確な目的を持った自助グループは、まずは症状を手放すことを重要視して
いる。回復のための12ステップをふんで、症状を手放した頭で自己を苦しめ
てきた生き方を見つめ直し、摂食障害に頼らずに生きていける。
(キーワード:摂食障害、回復、自助グループ、エンパワーメント、シンボリッ
ク相互作用 )
▼第2報告(14:15~14:55)
井上ゆかり(熊本学園大学大学院)
不知火海漁業と水俣病に関する研究序説
~女島沖地区における「統」体制の生成と崩壊から~
○要旨:
水俣病事件の舞台となった不知火海を対象として、これまであまり深められ
ることの少なかった漁業の変遷や漁業形態と被害者の水俣病被害の受け止め方
について、資料分析と現地調査を重ねて考察した。論文では、不知火海漁業を
概観したうえで、水俣病多発地域の漁村に焦点を絞り、その村の漁業形態、生
活現実、意識世界をとらえ、これらの特徴が水俣病被害の受け止め方をどう形
作ったのかを検討した。
網元網子の関係が、家族近親者を中心とした「統」に基づいて形成され、そ
の関係が地域共同体の中で重要な役割を果たしていることを明確にし、当該地
区の人々の生活、意識、ひいては被害というあり方の解明を試みた。地区住民
はそのほとんどが漁民でありまた同時に水俣病患者である。したがって本稿は、
一漁村の漁業形態の特徴が住民の共同意識を形成し、その意識の有り様が水俣
病被害を受け止める意識にどのように投影されているのかを検討したものであ
る。
(キーワード:水俣病、不知火海、漁業、被害、統体制)
◇休憩(14:55~15:05)
■第2部(15:05~16:25) 司会=福永真弓(立教大学)
▼第3報告(15:05~15:45)
氏橋亮介(東京大学大学院)
地域資源の再生における外部者の役割
―京都府長岡京市の放置竹林における地権者とボランティアの関係を事例に―
○要旨:
地域再生のために、現在活用されていない地域資源の再生が重要なことがあ
る。そうした事例として京都府長岡京市における放置竹林を選択した。同資源
の再生のメカニズムを解明することを目的に、フィールドワークを通じたイン
タビュー及びアンケート調査を行った。
調査の結果、次のことがわかった。元来、竹林には多面的な機能があるが、
近代以降は経済的価値が過度に評価されていた。1990年代以降、経済的価値が
低下し、竹林使用の排他性が低下した。そのため2000年代になって、竹林ボラ
ンティアの参入が顕在化し得た。参入後、地権者が、竹林の非経済的価値を発
見した結果、保全活動に従事するようになった。
本調査より、外部者の参入を契機に非経済的価値に基づき地域資源が再生さ
れることが確認された。他方、同様の外部者の参入にもかかわらず、地権者が
保全活動を再開しない事例もあった。今後、地権者による資源の価値の評価に
配慮し、解明することで地域再生への糧としたい。
(キーワード:地域資源、外部者の役割、森林ボランティア、資源論、京都府
(長岡京市))
▼第4報告(15:45~16:25)
塩見記章(東京大学大学院)
里山保全の現場における対立を乗り越える枠組み
~愛知県海上の森を事例として~
○要旨:
現在、里山に多くの関心が寄せられている。しかし、「里山」という語が多
義的であるため、何を守るのか、どのように守るのかといった点で保全方針に
ズレがおきる。また、当該地域の担い手不足などの理由によって、地域住民だ
けでなく、都市住民などの参加も盛んになっており、「誰が主体となって保全
していくのか」という点で争いが起きる事がある。その際、それぞれの主張に
はそれなりの正当性があるため、硬直的な議論を繰り返すだけでは、対立が広
がるばかりである。これら対立の原因は、「里山保全」として一見活動が集約
されているように思われたとしても、実は、当事者達が思い描く里山像が固定
的なものであり、お互いの違いに配慮せず主張を繰り返すことにあるのではな
いだろうか。本研究では愛知県海上の森を事例として、里山概念が動的なもの
であることを明らかにし、里山保全の現場における対立を乗り越えつつ、活動
していく仕組みを検討する。
(キーワード:里山保全、合意形成、パートナーシップ、ダイナミズム)
■講評,閉会あいさつ(16:25~16:30)
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┃■┃ 託児室世話人の募集
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環境社会学会では2005年以降、ベビーシッター(託児)制度が取り入れられ、親 子連れでの学会参加が可能となりました。少しずつ利用者の数も増えています。 しかし、セミナー事務局側の負担や料金、引き継ぎの問題等、多様な課題があり ます。
ベビーシッター制度を再構築するというよりは、制度に関わる多くの情報を収 集し、整理整頓する必要があるのではないかと考え、一人の利用経験者として、 下記の3点を中心に、できる範囲で行おうと考えております。
1.学会内でのニーズ調査の実施
2.他の学会でのベビーシッター(託児室)制度の情報収集
3.助成金情報の収集
そこで、もしお手伝いしてくださる方がいらっしゃいましたら、下記までメー ル連絡をお願いいたします。どうぞよろしくお願いいたします。
▼連絡先
堀田恭子(立正大学)
hotta@ris.ac.jp
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┃■┃ 世界社会学会議2010年ヨーテボリ大会の報告申込受付
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2010年7月開催の世界社会学会議ヨーテボリ大会の報告申込が1月末に開始されま した。RC24のセッションは以下のとおり19セッション(Integrative Session 1 を含む)が編成されました。申込締切は本年9月15日です。希望のセッションの オーガナイザーにemail で、タイトル、報告者名、アブストラクト(長さの指定 はありません。通常400語程度です)を送ってください。1人2セッションまで、 申込可能です。報告申込の採否が決定後、最終版のアブストラクトを送ることに なります(それに関する情報は別途アナウスがあります)。全体的な疑問は、長 谷川(k-hase@sal.tohoku.ac.jp)までおたずねください。各セッションが期待 する内容については、それぞれのオーガナイザー宛、emailでおたずねくださ い。世界社会学会議2010年ヨーテボリ大会の次が、2014年横浜大会です。横浜大 会の予行演習のためにも、是非、積極的に報告を申し込んでください。セッショ ン10は、具度完氏と長谷川がオーガナイザーを務めるアジアの環境問題に関する セッションです。Integrative Session は、李時載氏と洪大用氏がオーガナイ ザーを務める、RC24と韓国環境社会学会・中国社会学会人口と環境委員会の3者 による合同セッションです。
長谷川 公一
Research Committee on
Environment and Society RC24
Programme Coordinator
Raymond Murphy, University of Ottawa, raymond.murphy@uottawa.ca
Organizing committee members
Matthias Gross, Helmholtz Centre for Environmental Research – UFZ, Leipzig, ermany, matthias.gross@ufz.de
Magnus Boström, Södertörn University College, Huddinge, Sweden, magnus.bostrom@sh.se
Mikael Klintman, University of Lund, Sweden, mikael.klintman@fpi.lu.se
Call for Papers
Please email paper proposals (title, author, abstract) directly to one of the organizers of the session you choose for your presentation by 15 September 2009. The sessions are listed below. Overflow papers that are too numerous for the particular session will be sent by the session organizer to the programme coordinator who will attempt to find another session for the papers.
Any individual may participate on up two sessions. Once your presentation is approved by the session chair, you must then submit an abstract of your paper on-line (instructions will be made available in due course). Abstracts are only accepted by the system from those who are already registered for the Congress. The deadline for submission of approved abstracts is May 1, 2010.
Proposed Sessions
Session 1: The pillar of social sustainability in eco-standardisation
Organizer: Magnus Boström, Södertörn University College, Huddinge, Sweden, magnus.bostrom@sh.se
Session 2: Global environmental change and the viability of adaptive technologies
Organizers: Matthias Gross, Helmholtz Centre for Environmental Research, Leipzig, Germany , matthias.gross@ufz.de and Filip Alexandrescu, University of Toronto, Canada, filip.alexand@gmail.com
In an era of global environmental change, discussions on the viability of adaptive strategies of human societies to natural changes become increasingly omnipresent in public discourse. This session will focus on the social relevance of alternate technologies and their political and cultural acceptability to address the viability of different energy systems for the reproduction of human societies.
Session 3: Civil society and environmental governance
Organizer: Dana Fisher, Columbia University, USA, drf2004@columbia.edu
In recent years, civil society actors have gotten increasingly involved in environmental politics at all scales of governance. This session encourages submissions that explore the roles that non-state, non-market actors are playing, whether individually or in hybrid collaborations.
Session 4: Green consumption and the tensions between global and local markets
Organizer: Julia Guivant, Universidade Federal de Santa Catarina, Brazil , juguivant@uol.com.br
Session 5: Social theory, environmental reform, and the new world (dis)order
Organizers: Arthur Mol, Wageningen University, The Netherlands, Arthur.Mol@wur.nl and David Sonnenfeld, State University of New York at Syracuse, USA , dasonnenfeld@gmail.com
This session brings together theory-informed papers that aim to interpret and understand the institutions, actions and authorities for environmental reform in the new world (dis)order. Do we need and see new forms and patterns of environmental reform; how can we understand their emergence and functionng; how do we evaluate them; what does this mean for (environmental) social theory?
Session 6: Environmental attitudes and behavior: What do surveys tell us?
Organizer: Riley Dunlap, Oklahoma State University, USA, riley.dunlap@okstate.edu
Session 7: Market based instruments for the provision of ecosystem services
Organizer: Stewart Lockie, Central Queensland University, Australia, s.lockie@cqu.edu.au
Session 8: The human management of the ‘natural order’: invasive/endangered species, flood/drought, salty/fresh water, …
Organizer: Cecilia Claeys-Mekdade, Université de la Méditerranée, Marseille, France , mekdade@univmed.fr
This session focuses on the paradox constituted by the human management of the ‘natural order’. What does ‘natural order’ actually mean? For whom (scientists, activists, stakeholders, …)? What for (nature itself, humankind survival, God accomplishment, …)? How is this issue handled in concrete cases like the management of invasive/endangered species, flood/drought, salty/fresh water, …?
Session 9: The shaping of public environmental risk perceptions
Organizer: Leonardas Rinkevicius, Kaunas University of Technology, Lithuania , leonardas.rinkevicius@ktu.lt
Session 10: Environmental issues and people’s voice in Asia
Organizer: Koichi Hasegawa, Tohoku University, Japan, k-hase@sal.tohoku.ac.jp and KU Do-Wan, Environment and Society Research Institute, Korea, kudowan@korea.com
Focusing on environmental issues and civil activities in Asia. Under rapid modernization and industrialization, people suffer from serious environmental disruption. How do they react and raise their voice? Or how do they hope in their silence.
Session 11: Sustainability: addressing the Earth in peril
Organizer: Eugene Rosa, Washington State University, USA, rosa@wsu.edu
The ecological foundation of human societies has all but been ignored by sociology. Perilous threats to those ecosystems over the past century have made that inattention ever more difficult to maintain. Sustainability is the broad rubric comprising the many actions for addressing those perils.
Session 12: Culture/climate change: migration, adaptation, and re-settlement in an age of change
Organizers: Steven Yearley, University of Edinburgh, UK, steve.yearley@ed.ac.uk and Laura Jeffrey, University of Edinburgh, UK, laura.jeffery@ed.ac.uk
Sociologists are now very aware of climate change, but to date there have been few studies of the migrations and re-settlements that are expected to be an aspect of cultural adaptation to this phenomenon. This session invites empirical and theoretical analyses offering insights into this topic.
Session 13: Environmental organization and natural resource sustainability in the developing world
Organizers: Lotsmart Fonjong, University of Buea, Cameroon, lotsmart@yahoo.com and William Markham, University of North Carolina at Greensboro, USA, wtmarkha@uncg.edu
The session will discuss the role and participation of indigenous and international enivironmental organisations on enviromental protections and ecological movements in developing countries and question existing frameworks for analysing enviromental issues by these organisations.
Session 14: Water crisis and governance: social learning and political-institutional challenges – experiences of the North and the South
Organizer: Pedro Roberto Jacobi, Universidade de São Paulo, Brazil, prjacobi@usp.br
Session 15: Biodiversity regulation and institutionalization of global-local linkages
Organizer: Karunamay Subuddhi, Indian Institute of Technology, India, subuddhi@hss.iitb.ac.in
Session 16: New trends in environmental sociology
Organizer: Mikael Klintman, University of Lund, Sweden , mikael.klintman@fpi.lu.se
Session 17: Sustainability transitions and environmental sociology
Additional session on the Congress theme.
Organizers: Joan David Tabara, Universitat Autònoma de Barcelona, Spain , joandavid.tabara@uab.cat and Ernest Garcia, Universitat de València, Spain, Ernest.Garcia@uv.es
Session 18: Sustainability and quality of life: concordant or conflicting goals of societal development?
Joint Session of RC24 Environment and Society and RC55 Social Indicators [host committee]
Session 19: Business meeting
Integrative Session
RC24 together with two associations: Korean Association of Environmental Sociology, and Chinese Sociological Association Committee of Population and Environment will also submit a proposal to organize an Integrative Session on
Environmental problems of the emerging powers of China and Korea
Organizers: Seejae Lee, RC24, Catholic University of Korea, South Korea, seejaelee@catholic.ac.kr and Dayong Hong, Renmin University, China, President of Chinese Sociological Association Committee of Population and Environment, hongdy@ruc.edu.cn
This session deals with various environmental issues, movements and policies in and with respect to their impacts on people’s living and global environment.
Sustainability and quality of life are two popular concepts playing a major role in defining goals for the development of societies at different levels. As normative concepts they are also widely used as yardsticks to assess – e.g. based on empirical measures – the realities of current societies and their changes over time. In recent years the discourses about sustainability and quality of life have been more and more converging, although it still remains unsettled how the two concepts and goals actually are related to each other. While some consider quality of life as a dimension of sustainability, others consider sustainability as a component of quality of life. On the other hand there is good reason to believe that sustainability and quality of life are conflicting rather than concordant goals of societal development. This joint session invites first of all papers addressing explicitly the relationship between sustainability and quality of life and discussing whether respective goals are concordant or in conflict. The session also welcomes papers presenting empirical evidence on the link between sustainability and quality of life and/or discussing related measurement issues.
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□発行 環境社会学会 会長・長谷川公一(東北大学)
事務局
〒194-0298 東京都町田市相原町4342
法政大学社会学部 堀川三郎
E-mail: office@jaes.jp
□編集 藤村美穂(運営委員 佐賀大学)
□メールアドレス・住所・所属など個人情報の変更、メールマガジン掲載依
頼、その他のお問い合せは、学会事務局までお願いいたします。
□年会費の振り込みは、郵便振替口座:00530-8-4016 口座名:環境社会学会
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